公益財団法人 鹿島美術財団

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  2. 佐藤 康宏 氏 インタビュー

調査の合間、湖畔のひと時

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次に、ボストンでの思い出といいますか、何か御記憶に残っていることなどお聞きしたいんですけども、調査期間は自由時間などはなかったといった感じでしたか。

佐藤 :

週末にニコル・ルマニエールさん(現、イースト・アングリア大学教授)が別荘に招いてくれたということがあって、それは多分、辻先生、河野先生と私で出かけたんだと思います。ボストンの北のニューハンプシャー州にスクワムレイクという湖があるわけですが、そこまで出かけました。ニコルさんのクーリッジ家というのは大変な名家らしく、かつて大統領を二人出したという名門なんですが、その湖に浮かぶ島の一つを、たしか全部持っていらっしゃるんですね。そこの別荘に行って、初めてカヤックというものに乗りました。河野先生と二人乗りで、島を一周しましたね。湖といっても、なかなか広い湖でしたけど。

髙岸 :

河野先生と二人でカヤックに乗って、どんな話をするんですか。

佐藤 :

こちらもカヤックなんて初めてですから、緊張していまして。一応、救命胴衣はつけていますけど。

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インストラクターみたいな方は乗っていらしたんですか。

佐藤 :

いない、いない。二人だけです。ルマニエールさんに言わせると、乗れるもんだという、何か最初からそんな感じで思い込みがあったようで、何か簡単な指導を受けまして、すぐに乗りました。

髙岸 :

8月ぐらいで、あのあたりだとそんなに暑くもなく。

佐藤 :

確かに、そうそう。割と爽やかだし。

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最高ですね。辻先生は乗られなかったんですか。

佐藤 :

辻先生はあのときどうされていたんだろう。あまり乗っていた記憶はないですね。記念にTシャツをもらいました。“Live Free or Die”と書いてあるスクワム湖のTシャツ。ああ、そういうモットーの土地柄なのって。今でもまだ持っています。

図6:2001年、スクワム湖にて(後列中央左: 佐藤康宏氏、後列中央右: 河野元昭氏、前列左: 辻惟雄氏)
河野元昭氏提供
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ルマニエール先生は、そのときボストン美術館におられたんですか。

佐藤 :

多分、休暇のために一度、自分の生まれ故郷に戻っていたんじゃないでしょうか。その当時からもうイギリスが主たる仕事場だったはずですよね。

髙岸 :

佐藤先生とルマニエールさんのつながりというのは、いつごろからですか。

佐藤 :

私が文化庁で働いていたころ、彼女が留学生として東京にいたときに初めて会ったんだと思いますね。

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日々の調査の際、お昼や夜のお食事はどうされていたんですか。

佐藤 :

昼ご飯は多分毎日カフェテリアで食べたと思います。夜は適当なレストランを探して行って。

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前回、島尾先生から伺ったのですが、ボストン美術館には泉武夫先生が作った市内の地図が貼ってあって、鹿島調査で来られた先生方は、おいしいレストランを見つけたらその地図にマークしていくとおっしゃられていたのですが、それはご存知でしたか。

佐藤 :

いや、そういう伝承はなかったです。そのような蓄積があるんだったら、本当に教えてほしかったですね。

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