Interview 03
近世狩野派・円山四条派・諸派
河野 元昭(こうの・もとあき)
1943年、東京都生まれ。東京大学大学院修士課程修了。東海大学教養学部専任講師、東京国立文化財研究所文部技官、名古屋大学文学部助教授を経て、東京大学人文社会系研究科教授。定年退職後は秋田県立近代美術館館長、京都美術工芸大学学長、静嘉堂文庫文庫長・静嘉堂文庫美術館館長を歴任。東京大学名誉教授、「國華」編輯委員、日本学士院会員。著書に『琳派 響きあう美』(思文閣出版、2015年)、『文人画 往還する美』(思文閣出版、2018年)、『江戸絵画 京と江戸の美』(思文閣出版、2022年)等がある。
このたび『ボストン美術館日本美術総合調査図録』(以下、『調査図録』)が刊行されました。
いい図録ができて、美術史的に非常に意味があった。悉皆調査の大きな成果が一つ出たわけだけれども、研究を深めていくのはこれからだな。本書を活用して皆さん、色々と研究が始まるということだけれども、今までそういう土台というものがなかったわけだからね。ボストン美術館は作品を集めてすごいコレクションを作ったけれども、ちゃんと公開されてなかったから鹿島美術財団が全面的に援助してくれて、成果を公開し、立派な本ができた。本当に鹿島さんに対してはいくら言っても感謝し切れないと思っている。
河野先生が参加された、近世狩野派、円山四条派、南画・諸派それぞれの調査に関して、詳しくお聞かせください。
調査内容が決まったのは1991年ぐらいかな。このプロジェクトは辻プロジェクトでもある。辻惟雄さんからやってくれよと言われて、ぜひぜひ、むしろこちらからお願いしたいというふうに言って。最初、仏画の調査から始まった。1998年、99年が主に江戸狩野だった。2000年が円山四条派で、2001年が文人画・諸派という感じで、全部で何点ぐらい調査したかな。
狩野派が400点以上で、円山四条が350点。南画・諸派が200点くらいですね。
ともかくもざっと計算して、一日に40点以上調査しないと間に合わないってことになって、ちゃっちゃか、ちゃっちゃかと進めた。一日に42、3点を見ないと間に合わないというので、とにかくやろうと。終わったら毎日もうくたくたで。夕食をとってホテルに帰ったらただ寝るだけなんだよ。大体、朝10時から夕方5時まで作業していたのかな。