公益財団法人 鹿島美術財団

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国際会議出席

2025年度
国際シンポジウム「Colloque Odyssée Cezanne」
永井 隆則(同志社大学嘱託講師)

 このたび、鹿島美術財団の美術に関する国際交流援助を賜り、エクス・アン・プロヴァンスのグラネ美術館で開催中の展覧会「ジャズ・ド・ブッファンのセザンヌ」展〔図1〕と連動して、ポール・セザンヌ協会が企画した国際シンポジウム「セザンヌ:オデュッセイア」にて口頭発表を行い、あわせてポール・セザンヌ協会の総会および常任委員会に出席し、協会運営についての議論に参加した。

図1:「ジャズ・ド・ブッファンのセザンヌ」展会場(エクス・アン・プロヴァンス、グラネ美術館)
photo © Takanori NAGAÏ

図2:国際シンポジウムの会場(セザンヌ家旧邸宅敷地内の講演室)
photo © Takanori NAGAÏ

 本国際シンポジウムは、2019年に設立されたセザンヌ研究・資料センター(CCRD)の開所記念事業の一環として構想され、2025年9月24日から27日にかけて開催された。会場はセザンヌ家旧邸宅の敷地内に新設された講演室〔図2〕であり、定員100名の対面参加に加えて、日本を含む世界各地から多数の研究者がオンラインで聴講した。

図3:ヴァザルリ財団美術館における講演会
photo © Takanori NAGAÏ

 翌28日には関連企画として、ヴァザルリ財団美術館にて講演会が開催された〔図3〕。また、27日午後には同会場でポール・セザンヌ協会の常任委員会および総会が行われ、今後の活動方針について活発な議論が交わされた。筆者は常任委員として出席し、引き続きその職務を務めることが承認された。

 シンポジウムには、ドイツ、日本、アメリカ、イギリス、フランス、スイス、ハンガリーから27名の研究者が登壇した。各国におけるセザンヌ受容の現状が報告され、活発な意見交換が行われた。筆者は「日本におけるセザンヌ受容」と題して発表を行い、極東の日本においてセザンヌ作品が多く収集され、長く人々を魅了してきた理由とその文化的背景について紹介した。このテーマは海外ではほとんど知られておらず、聴衆の大きな関心を集めた。

 CCRD〔図4〕は2019年、旧邸宅に隣接する農家を改修して設立された研究施設である。2014年にアメリカの研究グループが開設したオンライン・カタログ・レゾネの更新をはじめ、研究資料の収集・公開、シンポジウムや講演会、展覧会の開催、研究書の出版など、デジタル/アナログの両面から精力的に活動している。セザンヌが実際に制作を行った「場所」に世界中の研究者を集結させ、国際的なセザンヌ研究の拠点を築くことを目指している。

図4:ポール・セザンヌ≪ジャズ・ド・ブッファンの農家≫(現在、改装して「セザンヌ研究・資料センター」として活用)、1887年頃、油彩/カンヴァス、60×73.5cm、フィラデルフィア、バーンズ財団 

 ポール・セザンヌ協会は1998年に創設された国際学会であり、名誉会長を画家の曾孫フィリップ・セザンヌ氏、会長をドニ・クターニュ氏が務めている。本部はCCRD内に置かれ、2025年現在の会員数は約80名、日本人会員は筆者を含めて2名である。実質的には、協会がCCRDの運営を担っている。
 今回の国際シンポジウムでは、これまで名前や研究内容のみを知っていた海外のセザンヌ研究者の多くと直接交流できたことが、大きな成果となった。今後の研究協力に向けた貴重なきっかけを得ることができた。帰国後、複数の研究者から問い合わせや共同研究の打診を受けている。また、ニューヨーク、コロンビア大学のポストドクの研究者をはじめ、セザンヌ研究に取り組むイェール大学学部生や京都大学修士課程の学生など、次世代の若手研究者とも出会い、交流を深めることができたことは大きな喜びであった〔図5〕。 

図5:国際シンポジウム登壇者集合写真(26番が筆者)
photo © Magali ROBERT-ZEBROWSKI

会議名 国際学会ポール・セザンヌ協会(Société Paul Cezanne)常任委員会、
国際シンポジウム「セザンヌ:オデュッセイア(Colloque Odyssée Cezanne)」
派遣国 フランス
会場 ジャズ・ド・ブッファンのセザンヌ家旧邸宅内の講演室、セザンヌ研究・資料 センター(CCRD)
期間 2025年9月24日~28日
報告書 『鹿島美術研究』年報第43号別冊(掲載予定)

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